ponkotu-papaのブログ

バツイチパパの日常を気の向くままにつづりす

独身で独り暮らしの頃にNHKが来た その3

「気化熱」と言う言葉を知っている人も多いと思う。

液体が蒸発(気化)する時に、その周囲の熱を奪ってしまう現象を指す。

例えば真夏、庭や道路に打ち水をすると、直後はムワッとするけれど、少し経つと涼しくなる。これは水が地面の熱を奪って蒸発していったために、温度が下がって涼しくなる。

例えば病院で注射を打つ時、アルコールなどで消毒をする。この時にアルコールを塗った場所がヒヤッとした経験は誰でもあるだろう。これはアルコール自体が冷たいのではなく、アルコールは水よりも蒸発しやすいため、塗られた肌の温度を猛烈な勢いで奪うので冷たく感じる。

 「気化熱」とは、ワリと強烈に温度を奪うのだ。

 

さて。

入浴中に慌てて身体をバスタオルで軽く拭いただけだと、当然全身が湿っているし、所々には水滴も残る。

そこに小雪がチラつくほどの低温で乾燥した空気が当たる。

これがどれほど寒いか想像してほしい。

せめてもの救いは、風は強くなかったので、玄関の隙間から冷気が吹き込んでなかったコトか。それでもヒタリヒタリと忍び寄るように冷気が侵入してくるのはどうしようも無かった。

恐らく唇なんかも紫色になりかけていたのではないだろうか。

あ、後出しで申し訳ないんだけど、この時はリビング(キッチン?)の照明は点けていなかった。浴室からのわずかな照明の中で、少しでも赤の他人に俺の美しい(?)裸体を見せないように…。

兄ちゃんからは、俺が逆光でほとんどシルエットだけだったと思う。しかも兄ちゃん、俺を直接見ないように扉の影に隠れて話ている。俺が寒がっているのに気付くハズもない。

 

「ウチ、テレビ無いんですけど!」

これで素直に帰ってくれるコトを期待した俺がバカでスた。

兄ちゃん、足掻く足掻く。

兄ちゃん「車にナビは積んでないですか?」

俺「無いです! ウチにテレビはありません!!」

兄ちゃん「携帯電話にワンセグ機能は付いてませんか?」

俺「iPhone(当時はiPhoneユーザーだった)なのでワンセグは付いてないし、ウチにはテレビは無いって言っている!!!」

兄ちゃん「パソコンはありますか?   インターネットには繋がっていますか?」

俺「パソコンはあるしインターネットにも繋がっとるけど、テレビチューナーは入れてない。ウチにはテレビは存在しない!」

兄ちゃん「それじゃ、えっと…」

 

まだ続けようとする兄ちゃん。

いい加減キレかけている俺。

このままでは、たまーに聞くアホなNHKの「本当にテレビが無いのか、家の中を見せてもらっても良い?」なんてコトを言い出しかねない。

なんで見ず知らずの人間を家に入れなければいけないのか。

まして俺は全裸。

冗談ではない!(by シャア・アズナブル

それよりも。

これ以上付き合っていると、俺がマジで風邪をひきかねん!

 

俺「おい兄ちゃん!」

俺「あのな。俺が何回、『テレビが無い』って言うた?」

俺「日本語が通じんのかっ?!」

兄ちゃん「あ、いえ。たまに、テレビがあるのに『無い』と言う人もいますので…」

俺「つまり、客の言うコトを信用していないってコトか?!   会社から『客の言うコトを信用するな』って言われとるんかっ?!(お金を払ってないから『客』じゃないんだけど)」

兄ちゃん「いえ。そうゆうワケでは…」

たぶん、会社から言われているんだろうな。

俺「とにかく、ウチにテレビは無い!   帰れ!   二度と来るな!」

そして兄ちゃんの反応を待たずに玄関扉を閉めて鍵をかけた。時計を見ると、夜8時を過ぎていた。あの日本語が通じない兄ちゃんの相手を、30分ほど続けていたのかと思うと、アホらしくてバカらしくて情けなくて悔しくて…。

 

急いで再び風呂に入って凍えた身体を暖めようとすると、湯船のお湯も少し冷めてぬるくなっていた。仕方なく追い焚きをして、ようやく一息がついたころ、俺の頭の中では、松山千春の「大空と大地の中で」が流れていた。

 

 
大空と大地の中で - 松山千春.flv - YouTube

 

つづく